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記念艦「三笠」復元50周年記念式典

5月27日(金)午後、横須賀市の三笠公園内に保存されている記念艦「三笠」前部ホールで記念艦「三笠」復元50周年記念式典が盛大に行われた。主催が財団法人三笠保存会(会長:増田信行)で筆者も同保存会会員として出席。実に有意義な一日となりました。
戦艦三笠は日露戦役での日本海海戦において長躯ヨーロッパより遠征の帝政ロシア・バルチック艦隊を対馬沖で撃破し、ポーツマス講和条約締結の機運を高め日本に戦争の勝利をもたらし国運隆盛に寄与した正に国恩的戦艦。イギリスで言えば「戦艦ビクトリー」、アメリカなら南北戦争で勇戦した戦艦「コンステイチューション」に相当する歴史に大きな影響を与えた戦艦である。しかしながら、大東亜戦争で敗れたあとは、進駐軍により三笠は艦橋、各砲、マストなど上甲板構造物がことごとく撤去され見る影もなく荒廃した。その後三笠復元の機運が高まり昭和36年(1961年)5月27日(日本海海戦の日)に復元された。国民各層からの浄財、ニミッツ元帥他アメリカ海軍等からの協力及び日本政府の支援による。
式典には、海上自衛隊・自衛艦隊司令官倉本憲一海将、同・横須賀地方総監高嶋博海将、護衛艦隊司令官松下海将、アメリカ第七艦隊司令官バン・バスカーク海軍中将、在日米海軍司令官クロイド准将後夫妻、第七艦隊潜水艦部隊指揮官トーマス准将ご夫妻、第七艦隊戦闘部隊指揮官ヘイリー准将ご夫妻、各国駐日武官、横須賀市長、戦後皇籍を離脱された伏見博明様、東久邇信彦様、日本海海戦時に三笠艦上で戦闘に参加した東郷平八郎連合艦隊司令長官他海戦ゆかりの親族他関係者多数が来賓として臨席された。非常に残念に思われたことは防衛大臣の姿がなかったこと。東日本大震災に際しいち早く空母を派遣してくれたのはアメリカ海軍であり「トモダチ作戦」で見せたアメリカ国民の誠意と友情に対して日本国民を代表して感謝の意を示すべきであった。
午後1時半からの式典では、国家斉唱のあと東日本大震災の被災者のご冥福を祈り黙祷。来賓祝辞、来賓者紹介、祝電披露と続き最後に記念艦「三笠」前の公園で記念の植樹を行った。
その後近くのメルキュールホテル横須賀にバスで移動し、午後3時より記念祝宴が盛大に開かれた。以下当日のフォートレポートです。

      
 海上自衛隊横須賀地方総監部 海将 高嶋博氏の記念艦「三笠」復元50周年記念式典祝辞



 本日は、五月二十七日という我が国のみならず世界的にも歴史的な日に、三笠艦上において祝辞を述べる機会をいただきましたこと、海上自衛官として大変光栄に存じます。
 三笠保存会におかれましては、毎年五月二十七日に記念式典を挙行されるとともに、海上防衛の重要性について広く国民の意識高揚に貢献してこられました。
 ここに改めまして、関係者の皆様に心から敬意を表するものであります。
 記念艦三笠は多くの関係者の御尽力により、昭和三十六年に復元され、今日その雄姿を国内外の来艦者に披露してくれておりますが、復元に関し、アメリカ海軍ニミッツ提督の御尽力があったことは特筆すべきことであります。
 かつて太平洋において対峙した敵国の提督が、三笠の荒廃を嘆き、復元に向けて尽力されましたことは、海の戦士が互いにその戦いを讃え尊敬する、まさに「海の友情」であります。
数年前、同提督の名前をいただいた空母ニミッツが当地横須賀に寄港した際、同艦の乗組員が三笠の整備をしてくれましたことも、時を経て海の友情が連綿と受け継がれていることを示すものであります。
 本席には第7艦隊司令官をはじめ、多くのアメリカ海軍の指揮官がお見えになっておりますが、今回の東日本大震災における、アメリカ海軍の支援作戦、所謂「友達作戦」もまた、その延長線上にあるものと考えております。
 日本海海戦から一世紀を経た今日も、戦艦三笠の功績とその歴史的な意義は、いささかも錆びることなく、燦然と輝いております。
海上自衛隊は、この国家的偉業を後世に伝えるため、今後とも微力を尽くす所存であります。
 さて、この度の東日本大震災に際し、海上自衛隊は、可動全兵力をもって被災民の救助救援に、或いは福島第一原発への対応を行ってきました。今日も十隻以上の艦艇や航空機が三陸沖に展開しております。
 今日、私どもが事態に即応し、整斉と任務を遂行できておりますのは、戦艦三笠をはじめとする多くの先達の遺訓に負うところ極めて大であります。
 我が国の海上防衛を担う我々は、三笠復元五十周年を機に、改めて先人の偉業に思いを致し、国家国民の負託に応える決意を新たにしているところであります。
 最後になりましたが、三笠保存会、そして横須賀市のご発展と本日ご臨席皆様のご健勝を祈念致しまして私の祝辞とさせていただきます。


                              平成二十三年五月二十七日

                               横須賀地方総監 

                                 海 将  髙 嶋 博



記念艦「三笠」1902年イギリスにて建造。日本海海戦勝利の立役者で日本の国運隆盛に寄与。アジアと世界の歴史に大きな影響を与えた戦艦
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ただいまこんなイベントが開催されている
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式典会場に到着の笑顔の米第七艦隊司令官バン・バスカーク中将(左)と倉本憲一自衛艦隊司令官(右)。両提督は東日本大震災が発生するや直ちに日米「トモダチ作戦」を発動し被災地住民救援に立ち上がった。この作戦がどれほど日本国民を安心させたか計り知れない
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日本国国家斉唱
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続いて東日本大震災被災者の冥福を祈り黙祷
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増田信行三笠保存会会長の式辞
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海上自衛隊横須賀地方総監高嶋博海将の祝辞
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アメリカ第七艦隊司令官バン・バスカーク中将の祝辞
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横須賀市長の祝辞
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各国武官の紹介
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伏見博明様。日露戦争において戦艦三笠の後部主砲の指揮官伏見宮博泰王殿下のお孫様。戦後皇籍離脱
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東久邇信彦様。昭和天皇のご長女-成子内親王のご長男で調和天皇の初孫に当たられる。戦後皇籍離脱。東郷会名誉会長
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左より参議院議員大石尚子様、衆議院議員小泉新次郎様。大石議員は秋山真之中将のお孫さんに当たる
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東郷平八郎連合艦隊h司令長官のご係累の面々
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参列者との記念写真に快く応じる小泉進次郎衆議院議員(中)。大変な人気だった
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植樹の後の記念写真
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バン・バスカーク司令官(左)とヴァンダービルト大学日米研究協力センター所長ジェイムス・アウアー博士
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話が弾むアウアー博士(左)と小泉衆議院議員
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バン・バスカーク中将(左)と筆者(中)右は海上自衛隊・護衛艦隊司令官松下海将
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元海上自衛隊・護衛艦隊司令官金田秀昭氏(左)と筆者。金田氏は財団法人日本国際問題研究所の客員研究員で先般中国・青島を訪問し交流。中国海軍の最近の動向、空母建造他につき貴重なご意見をいただいた
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小泉議員(右)と筆者。「先生はダーツが大好きと聞いています。私の地元青梅に来て井上信治先生とダーツを楽しんで下さい」と話しかけると「うん、面白いね」との返事が返ってきた
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記念祝宴会場で挨拶する増田会長
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会場風景
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カンパイ!倉本自衛艦隊司令官
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倉本司令官(左)と名刺交換する筆者。貴重な意見交換が出来心より感謝申し上げたい
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倉本司令官は筆者の意見に耳を傾けてくれた。「尖閣諸島沖での中国漁船の体当たり、韓国の竹島不法占拠、北方領土問題、中国海軍の空母建造の懸念、地震、津波、原発放射能等等国民はかってないほどに不安感を抱いている。そんな折罹災地の救援復興に果たした海陸自衛隊の活動、特に日米海軍共同の「ともだち作戦」に国民は安堵。全国民は自衛隊に感謝している。中国海軍が空母を所有すれば国民の不安感は一掃増幅される。日本も空母を所有せざるを得なくなるのではないか」他私見を述べると倉本司令官から有益な説明があった。また、二人の防衛大臣(当時は防衛庁長官)、福田篤泰先生(故人)と石川要三先生が青梅選挙区から生まれている。両先生の後継者的存在である自民党の若手ホープ井上信治先生は戦後生まれでしっかりと軍事知識を身に着けて欲しいが・・・」と話すと
倉本司令官は「横須賀に来ていただければなにかとご協力できます。宜しくお伝えください」との親切な返事をいただいた。近々井上先生にお伝えする
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駐日アルゼンチン大使館付き防衛・陸・海・空軍武官アンドレス・ウーゴ・ベロッグ大佐と
スペイン語に堪能な若者の通訳で話が弾んだ。私は切り出す「武官及びアルゼンチン国民に感謝したい。日本海海戦ひいては日露戦争の勝利そして今日の日本の繁栄はアルゼンチンの支援によるところ大。即ち、日露戦争開戦直前、当時アルゼンチンがイタリアで建造していた戦艦2隻を日本に譲ってくれた。日進、春日の2隻である。もしロシアに譲っていたら日本海海戦の勝利はなかった」と。大佐は「その言葉に感謝します。恐縮の至りです。アルゼンチンではそのことを国民すべてが知っています」。又、私は「アルゼンチン・サッカーが今日の日本サッカー隆盛の原点である。即ち東京五輪で日本は予選で南米の強豪アルゼンチンを逆転で破り自信を深め次のメキシコ五輪で銅メダルに輝いた。W杯でも優勝したアルゼンチンサッカーを尊敬している。東京で開催された世界ユース大会で観たマラドーナ選手のプレーに感動!」とたたみかけた。サッカーの話になると武官の目は一層輝き「二日後にある欧州チャンピオンズ・リーグ決勝のアルゼンチン出身メッシ選手もお忘れなく」と筆者の手を強く握った。メッシ選手所属のFCバロセロナは二日後英国のマンチェスターUを破り優勝!メッシ選手は2ゴールを挙げ優勝に貢献。武官の喜ぶ顔が目に浮かぶ。再会の機会があれば「オメデトウ!」とグラスを傾けたい。
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by omesports | 2011-06-02 12:08 | 編集長紀行

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