青梅サッカー事始め(1)別添サッカーマガジン年頭特別座談会(1976年新春)

サッカーマガジン年頭特別座談会(1976年新春)
五輪予選まであと三ヶ月 全日本はどうしたらモントリオールへ行けるか!


右より中条氏、長沼監督、藤田理事、荒井氏、牛木氏そして筆者吉永です。皆若かった。長沼監督は多分40歳そこそこだったと思う。尚付け加えるならモントリオール五輪に日本は出場できなかった。韓国、イスラエルに完敗したからである。その4年前のミュンヘン五輪も韓国、マレーシアに敗れ出場を阻まれた。1968年のメキシコ五輪で銅メダルに輝いたに日本サッカーは長い低迷期に入った。長沼監督はモントリオール五輪へのキップを逃したことで代表の座を降りることになった
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大住:いよいよ五輪予選が近づいてきた。難航していた”開催地問題”も解決し、ホーム・アンド・アウェー方式で行われる。日本は1976年3月から、まずフィリピンとの対戦でスタートする。ミュンヘン五輪を逃している日本は今回はどうしても本大会出場を果たしたいところ。予選まで残された期間はあと三ヶ月。どうしたら予選に勝てるか。長沼全日本監督をはじめ6氏に出席していただき、”五輪の年”1976年の日本サッカーを考えてみた。

牛木:新年号の座談会ということで、めでたく賑やかにいきたいのですが、藤田さん、このたび藍授褒章をおもらいになって、まことにおめでとうございました。

藤田:これは私がいただくというのは、面はゆいような気がするのですが・・・。今の日本のサッカーは、あらゆる面から非常にきびしい環境に立たされているときだと思うのです。私だけでなく、みんなが今年はどうするか、ということを心配している。とくに3月にモントリオール・オリンピック予選を控えまして、そういうときにいただいたものですから、もう一つすかったとした気持ちがしなかった。ところが、褒章の詳記の中で、”多年サッカーの発展に寄与し”というところがあり、それを見て初めて非常な感激を覚えたのです。今までの方は蹴球という言葉でいただいているのに、内容は同じであってもサッカーという言葉のものをいただいただけに、しっかり目をさませい、とカツを入れられた感じを強くもったわけです。

牛木:ぼくらは藤田さんがむずかしいお仕事を長年なさっていて、その苦労は知っていたが、それが一般の社会の人に認められて、ぼくらも非常にうれしいことですね。

大住:予選へまず競合との国際試合から

牛木:そこで、藤田さんが非常にお骨折りになってオリンピック予選の問題に一応、解決がついて三月には行われるということになっています。これが今年の最も手近な問題であって、日本のサッカーにとっても、最も重要な問題ですから、これについて、まず、当面の責任者である長沼さんのお話を伺って、そこから話をほぐしていきたいと思います。

長沼:ご承知のような経過で、十月の東京開催が流れた。とにかく流れたということについては非常に大きなショックがありました。そして東京・神田のグリーンホテルで解散したときに、チームも個人もどうやったらプラスに結び付けられるか、ということを選手諸君と話し合った。そうしたら、やはり答えは一つなんです。あの時点で自分自身が強くなるしかない。それに挑戦していく。もちろん正月から全日本としての準備のスタートを切る。直接の準備ですね。しかし、リーグ戦そのものも準備だという気持ちでやろうということで別れたんです。そしてリーグ戦の最中にあたる時期に予選の一つの方向が出て、みんなに手紙を書きまして、諸君はとにかく目の前のリーグの試合を大事にやっていこうじゃないかということを非常に強調したわけです。試合をずっと見ていて、少しはその気でやってくれているという傾向はたしかに出ていると思うのです。たとえば、三菱とフジタの試合のときにマークされた渡辺がさびしかったけれども、落合がすばらしいプレーを見せた。やはり日本リーグの中で相手を完封できて、初めて代表選手であるということだと思うのです。そういう気持ちでいく道を固めたうえで、一月、二月と言う時期に詰めるということですね。

牛木:今後、ナショナル・チームの一月、二月のスケジュールは、どのようになりますか。

長沼:いま岡野君と話し合って、強いチームとの国際試合を考えています。
まだ具体的には決まっていないが、日本にきたいというチームが40ぐらいあってその中から選ぶ。とにかく、強化合宿と、強いチームとの対決という明け暮れで、一月、二月に絞り上げていきたいということですね。

牛木:ナショナル・チームの鍛え方、勝ち方について、いろいろ注文というか、意見がおありだと思いますが、中条さん、どうでしょうか。

中条:ぼくは気力、体力、技力、こういう話をすると具体論になってくるけれども、やはり選手諸君にほしいのはやり抜く力というか、気持ちですね。そうすると、古いいいかたと言われるかもしれないが、精神的な面を督戦隊でうしろから激励するという感じのものしかないわけですね。落合君にしてもだれにしても、非常によくなってきたし、いい面も出てきて勉強はしてきているけれども、やはり最後に決めるものは勝ち抜く気持ちですね。
そういうものがあれば、楽じゃないが、十月の時点でも勝てるんじゃないかな、というふうに思っていたわけです。イスラエル、韓国ともいい勝負なんだから・・・。

荒井:ぼくは気力だけじゃとうしようもないと思う。きょう、新春座談会ということで長沼さんに絶対おれは行かしてみせるという景気のいいお話を聞きたいと思うけれども、逆な面で、あの十月の時点でやっていたら、とても勝てないんじゃないかなという感じを受けました。そういう意味ですべて日本でやれないのは残念だけれども、延びたというのはよかったんじゃないかと思います。それから先ほど長沼さんが、リーグの中でよくやっているといわれますが、はたして前期と後期と、どのくらい変わっているか。それが目に見えた進歩があれば非常にいいのですが、われわれが見ている範囲では、いいときもあるし、悪いときもあるし、それほど変わっていないんじゃないか。日本の強化合宿というものが韓国スタイルではないですね。常備軍がいるわけじゃない。リーグの中でやらないというふうになると、果たしていまのリーグで、長沼さんがどこらへんを評価して、どこがいいといっているのか、たとえば鋼管とやった三菱の試合を見ても、あれでよかったのか・・・。

長沼:それは全体的にいったら、日本リーグ、大学リーグを合わせて、いいわけはないという感じがします。探していったら、あれぐらいしかなかったといってもいいかもしれないが、ただし、ああいうものを大事にして、パッとぶっ飛ばさないと仕方がないということですね。

荒井:もう一つきついいい方をするならば日本は、長沼さん、平木さんがいろいろ苦労されているけれども、要するに建売の住宅みたいな感じも受けるわけです。床柱一本いいのがあるかもしれないが、でも、それを荒削りなら荒削りなものを、丸太小屋はいっぱいカスガイを打って強くしていると思うのです。そうじゃなくて、素材が、そういういい素材なら、今度はそれをきれいに切り込んで、さあっと合うような、それで、がっちりしたものを組む。そのカスガイを打つかというと、どうかなという・・。今建売住宅といったのは、だんだん五寸角が三寸角くらいになっている。それよりも太くするなら太くする。それから精巧に切り込むということを、それをどこでやられるのか。リーグではそれがでもってどれくらいできるのかな・・・。

長沼:荒井さんもご承知のように純粋な体力で走れないのは、これはもう、、それにすごい意思がからんでいますね。だからそこを刺激することによって走れるようになるというのを、香港で実証してきてくれている。だから致命的に体力が無いというのではなく、もっていき方でということです。それよりむしろ、さっきから指摘されているのは、わざがうまくなったぶん、結果として労力を惜しむことにつながっているというのが問題なんで、もっと具体的に戦術的なことをいうと、国内では、全日本では守備の面ではものすごく
ロマンチストが多いのです。止まるはずだ、ラストパスは通らないはずだ、と守っちゃってる。ある意味では国内試合ではそれそれが通じていますよ。逆に今度は全然、ロマンチックでなくなる、敵のゴール前で、一時代前の杉山(現ヤマハ監督)、渡辺(現新日鉄監督)にしてもゴール前へ張りに行った。専門家から見たら、あそこへボールがくるわけがないというところへ、とにかく張っている。だから敵のゴール前でもっと夢がほしいし、逆に自分のゴール前では夢なんかこわしてセーフティ・ファーストでいく。

荒井:万が一の可能性に掛けてない面が非常に多いわけですね。

長沼:そこで迫力が足らないとか、やられたことに直結しているんです。

中条:それから、ワールドカップでリベリーノがフリーキックをけったときに、ジャイルジーニョが倒れて得点がきまったプレーがあった。彼らはあれを何回も何回もやったというんですね。オランダも五人で攻めるチームワークを何度も練習したという。だから張るという部分ももちろん必要ですけれども・・・。こういう練習をしていれば可能性をしぼれると思うのです。

長沼:それは。いまおっしゃったのは、ある意味ではパターン練習みたいなこと。平木(全日本コーチ)の一番やっていることは逆に言えばそういうことなのです。それがサッカーにパターンはないという名言があるんです。これはたしかに事実そのとおりです。

中条:パターンがあったら、パターンで防がれちゃうからね。

長沼:そういう言葉を誤解しちゃいかんです。行くべきところへ行ってないというのは論外であると思うのです。そういう行動がない選手にストップして、クラーマーさんがよくやっていたんじゃないですか。なんで動かんか、と。これも一つのパターンです。

中条:それを単に山野をかけめぐって、ただ計画もなしに走るよりは、こういう格好になったんだから絶対走る・・・。

荒井:やり方はいろいろあるでしょうが、やはりそういう動きをやっているときにやれば、その動きに殺される面がある。走るときには、ぐっと、それだけのことをやらなければ集中できない面もあるんじゃないですか。

牛木:技術的あるいは精神的な問題と色々あると思いますが、三月の予選まで、一言ずつ、これだけはやってほしいとか、これだけは聞いてみたいということを何かいってもらえませんか。
吉永:ぼくは金銭的な面もひっくるめて最も監督がやりやすい環境で三月にもっていってもらいたい。それが即、プレーヤーに通じるんじゃないかという感じがします。

中条:やはり悔いの無い試合をしてほしい。ここで負けたら、日本のサッカーの進歩にかなりのブレーキをかけられることはぼくらが言わなくても選手も知っている。だからやってくれると信じています。負ければ仕方が無い。だけれども勝ってほしいということですね。

荒井:日本リーグができて、いい面と悪い面があるんじゃないかと思うんです。逆な面で言えば、試合数が多くなって、選手もよくなったけれども、今度は強化合宿に集中できないという面もあるんじゃないですか。三ヶ月というものをどういう風に生かすか。それを含めて思い切ったことをやらなければだめなんじゃないですか。たとえば三ヶ月なら三ヶ月、合宿してもいい。そういうことは経済的に無理とか、色々な問題があるでしょうけれども、何か今までにないようなことをやって、これにどうしても掛けるのだということをやっていただきたいと思いますね。

長沼:背水というのはそうですよ。

牛木:いま荒井君がいったように、三ヶ月合宿することが必要だと思ったら、お金がなくても、集めてやろうじゃないかいうふうに、われわれは思いますが、しかし実際にどうやったらいいかということは、監督が十分に最善を尽くしてもらいたいというのが、ぼくの注文ですね。それで最善のことをやりたいけれども、これがネックになってできないということがあれば、本誌の全読者の力をあげても解決したいので、何かあれば、それをいってもらえないですか。

長沼:それは率直なところ、大きな問題は経済的なことですよ。これは借金してもやらなければいかんということでやるわけですが当事者としては頭にひっかかりますね。
協会がわりに潤沢な状態にあればいいのですが、まったく逆ですね。そんななかで道を選んでいくという必要がものすごくありますね。

中条:具体的には合宿費ですか。
長沼:やはり強化費ですよ。
牛木:それはどうなのですか。
藤田:いま財布の中の金が底をついている。この財布になんとか金をあつめてやれということになると、大変な力がいるわけです。このことは、もちろんやらなければいかんけれども、金のことはとにかく心配するな、ということ。やったあとでどれだけの金が出ても、百億も使うわけではないのだから・・・。一番大事なことは、悔いのない試合をやれということを、長沼監督以下に皆さんから強く要望していただいて、金のことは心配しないでやれというような協会のバックアップ画必要だと思うのです。

牛木:いま協会が赤字であるという問題があるわけです。それで募金を始めたわけです。募金のやりかたについては異論はあると思うのですが、とりあえず、お金がなければ、どこかからもってこなければならない。募金するのもけっこうだとおもいますね。とりあえず三月に勝つためにあらゆる努力をやってもらいたい。

大住:もう一度新しいレールをしこう.

牛木:それで、最後の努力をして三月の予選を迎えるわけですが、勝負はもちろん時の運で、日本が負けることもあるかもしれない。結果を予測はしないです。しかし、ナショナルチームを今後どうして強くすればいいかということは、勝とうが負けようが、とくに勝ったときにはなおさら欠点の反省が行われなくなるから、いっそう反省する必要がある。ちょっとここでは、三月の大会の勝負を離れて、日本のナショナル・チームの将来のあり方についてお話を伺いたい。クラーマーが東京オリンピックのために日本に来た時点において、彼の任務は三年後の東京オリンピックをどうするかということだけだった。それに集中できたわけです。そのあとクラーマーも提案したし、それは長沼さんに与えられた課題だったけれども、ナショナル・チームを強くすると同時に、日本のサッカーをしっかりしたものにする、という二つの課題が与えられたわけです。そういう意味で、オリンピック以後の日本のナショナル・チームの強化は非常にむずかしい問題を持っていたと思うのですが、それを説明してください。

長沼:仕事がむずかしくなったということよりも、プレーしているファンの方、これがものすごい勢いで増えた。プレーをしていないファンも、もちろん、たくさんいる。そんな中でのサッカーということでやや錯覚があった。先輩達はレールを敷いてくれたけれども、敷きえなかった部分がある。そこへわれわれはレールを敷くという意識が必要なのです。そこのところが難しいのです。いつの時代になってもナショナル・チームは大事です。これには徹底的に、強烈な、強いところへ、しかもえらいコンディションの悪いところへ何回も出す。それに尽きます。もうひとつは国内のシーズン制を確立していかなければならない。ある決まった期間はこっちに専念できるという体制ですね。その両方を満たしていくものに何がいるかといったら、経済的なしっかりした基盤がいる。この三つのポイントです。この条件が満たされていけばむざむざ韓国にやられたり、アジアで後塵を拝することは無い。経済的なバックアップができるようになったら、必死にやったやつはなんらかのメリットが出るといったら、必ず差がつきますよ。どんな小さな大会に行っても、日本の選手だけですよ、受け取らないのは。日本はアマチュアだからと割り切っているわけですが、いつの時代までも、それでいいということじゃない。

中条:レールを敷くという話をされたけれども、レールを敷くときにはみんなの気持ちがそこ一点に集中するわけです。この前ウェールズを呼んだラグビーはそういう時期なんでサッカーだってそういう時期があった。けれども、長沼さんがさらに新しいレールを敷くべきだという考えを、みんなに持たせるべきだといったのに、感銘をうけた。新しいレールを探して敷かすように努力させるべきだ。そうすると自然にみんなでやろうという気持ちになる。

藤田:サッカーはメキシコ・オリンピックのときがピークだった。それからダウンしたんだ、というふうに考えられる向きがあると思う。しかしけっしてダウンしてない。ただ
ラグビーなり、バレーなりは、サッカーに追いつけ、追い越せという気持ちが全体にすごく上がっている。われわれは決して怠けていないのだけれども、そういうムードに、この機会にもう一度もっていく必要がある。

牛木:バスケットやらラグビーが努力されていることは非常なものがありますね。そこで日本のサッカーの将来をどうすればいいかということについて、もっとも大きな問題はなんだと思いますか。

吉永:アマチュアでやっていく限りではいろいろな意味で壁にあたる。日本は世界でも有数な資本主義国だし、すべて金を基盤にものを考える。そういう風潮になっていますから、国のためだとか、名誉のためにがんばれというだけでなく、それ相応の報酬というものを考えなければ、長い目で見ると駄目だと思いますね。そういうことになると、一応セミプロなり、プロなりを目標において運営していって貰いたいという気がする。

中条:ぼくはプロとアマに分けるのは反対だ。ヨーロッパあたりでは、プロとアマはないわけで、働きに対してお金をやっているシステムをつくる。それでアマとプロも一緒に試合をしてもいいし。だから、ご苦労さんという意味で金を出すという程度にいってそれが第三者から見たらプロかもしれないがプロとかアマとかいわずにやったほうがいいんじゃないかと思う。

牛木:サッカーのプロフェッショナリズムは、他のスポーツの、たとえば日本のプロ野球のあり方とは違うんで、野球なんかはプロはプロで別の団体、アマはアマで別の団体だけれども、サッカーの場合、プロフェッショナリズムを導入すれば、プロのサッカーも日本サッカー協会の中でやるし、一つのクラブの中にプロの選手もいるし、アマの選手もいるというふうにしなければいかんと思う。それはサッカーと他のスポーツの大きな違いであって、そういうふうな意味でのプロフェッショナリズムの導入ということ以外には、サッカーのプロ化というのは考えられないんじゃないか。

中条:考えられないし、スポーツの発生形態が違うから。製品を売るためのプロフェッショナルだったら、ちょっと事情が違うわけで、クラブのトップ・クラスがプロになっているならいいし、たとえば、三菱サッカー・クラブという三菱の会社から独立したものが
でき、それが少年サッカー・スクールをもち、杉山は三菱の社員で無くなったら三菱から追い出されるというんじゃなくて、三菱に関心を持っている人とか、早稲田の一番優れている人だって三菱クラブにはいってできるという状態になってからのプロならばいい。

大住:サッカー独自のプロ制度導入を

荒井:導入の意味ではプロ・リーグとアマ・リーグに分けることは難しいんじゃないかと思う。たとえばヤンマーならヤンマーで釜本はプロで、他の人はアマチュアだというようなセミ・プロですね、外国でいう。プロ・リーグを作ることがたいへんだとしたら、そういうシステムのほうがはいりやすいし、また遣り甲斐も出るんじゃないか。

牛木:一部の協会の役員が考えられているように、他のプロ・リーグを作るということじゃなくて、日本リーグの中にプロフェッショナルが生まれてくるというような形でやらなければ成功しない。ただ、いまプロの組織を作るという話は全然出ていない。組織を作ることは反対だけれども、プロフェッショナルの制度は導入できる。しかし多くの困難が、日本体育協会はアマチュアしか認めないというか、いろいろ難しい問題があることは事実です。

藤田:いまの牛木さんのいわれている問題は、われわれの間でも、なんべんも話し合って、将来はどうするかということで検討を進めておるわけです。協会の中にも、早くプロを作ろうという声もある。現にある程度、プロを作るか、という面もあるわけです。しかし、いまはなんといっても、ナショナル・チームを強くして、いいかえれば、技術をあげていって、自然にプロになってくる時代をつくるしかない。やるならば、いまでもすぐプロはできます。でもすぐつぶれる。たとえばホーム・グラウンドをもったところがありますか。そういう組織がなにもない。

牛木:プロフェッショナリズムの導入は、これから目標としてやるべきだけれども、そのほかに日本のいまのサッカーでやらなければいけないことがたくさんあるんです。たとえば同じ二十歳くらいの選手が日本リーグのチームと大学のチームに分かれて所属していていっしょにやる機会が少ない。日本で一番高いレベルの日本リーグに、そういう年齢の一番いい選手は、つまり大学もはいるべきじゃないか。わずか年間18試合ですね。
12チームにふえても22試合。そのくらい二十歳前後の大学の選手がこなせないようでは、日本のサッカーは伸びないということですね。選手個人個人としてプロというような刺激が必要であるように、一つ一つのチームについても、そういう刺激が必要なんで、欧州や南米と同じように一つ一つのクラブが自主運営をしなければやれないと思うのです。
もう一つ、クラブが企業のチームになっていたり非常に問題だというけれども、入場料、その他を含めた自主管理ということになると、地域のクラブを育てることができると思うのです。ところが、いまサッカー協会の中で、そういうものを妨げているいくつかのつまらない制度があるのです。たとえば社会人大会で日本リーグの挑戦権を獲得すると、そういうのは学生はだめであるとか・・。

中条:それに一つのことが決まってもなかなかやれないという体質がある。具体的にあげていったら、いろいろそういう制度の問題がある。
それをもう少し真剣に討議してすみやかに実行に移すようにしてほしい。

牛木:協会の組織の問題になると、これが少しも解決しないで、旧態依然というものがある。非常につまらない問題が解決できない。クラブの問題についても、たしかに日本には育たない要因がある。しかし、クラブは育たないといっても、われわれ育てるものが努力しなくちゃならないのだけれど、協会にお願いしたいことがある。たとえば会社単位、学校単位のチームが多い。それは現実だし、役に立っている面もあるわけです。だから会社単位のチームをやめろとか、そんなことは一言もいわない。ただクラブのチームを育てようとしている人たちの足を引っ張らないでほしいということ。日本では、すぐクラブは育たないというような発言をされて、多くの人を意気消沈させる。

長沼:少なくともそういうことをしちゃいけないというのは最低条件ですね。ただ、将来のビジョンということになると、いまの学校制度とか、社会構造の中で、サッカーだけじゃなく、日本のスポーツがぐっと進歩していくわけが、絶対無いと思う。そのへんは長い目でみて、少しずつでも変えていかなければならない。そして、この中で少しずつ努力していかなければいけないということですね。

牛木:こういう多くの問題を抱えている現状をふまえつつ、将来のたしかなビジョンをもってもらいたいと思いますね。

大住:問題点は山積しているし、まだまだ話はつきないのですが、このへんで終わりたいと思います。長時間どうもありがとうございました。(終わり)
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by omesports | 2013-12-21 12:10 | サッカー

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